香川からグラフィックデザイナーを目指すなら
「もしあなたがグラフィックデザイナーを.」JAGDA全国大会@岡山 レポート
もしあなたがグラフィックデザイナーを目指しているのであれば,JAGDAについては知っておいたほうが良いと思います.日頃から「~なければならない」という言葉や思考は滅多に使わないように意識しているのですが,やはりどう考えてもあなたはJAGDAについて知っておいたほうがいいに決まっています.なぜなら,あなたにとって知らないものはあなたにとって存在しないも同じだからです.いきなり何を言い始めるのか,という声が聞こえてきそうですけど,決して悪いことは言いません,怪しいものでもありません.あなたがグラフィックデザイナーを目指している,あるいは,グラフィックデザインって何かを知りたい,と思うのなら,やはり JAGDA は避けては通れないのです.世界はそのようにできています.
★JAGDAって?
それで,JADGAは,正式名称を 公式社団法人日本グラフィックデザイン協会 といって,その頭文字を取ったもので「ジャグダ」と発音します.カタカナで見ることはまずありません.自分で書いてみてビックリしました,カタカナにすると,ウルトラマンの怪獣の名前のようです.しかも強そうで悪そうです.でも,JAGDAは怪獣ではなく,鬼👹でもなく,日本グラフィックデザイン協会です.強いというよりスゴイくて,悪くはなくて良い子の味方です.
公式サイトから,JAGDAのヴィジョンとアクションを引用します.
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ヴィジョン:
グラフィックデザインの力で、コミュニケーション環境を革新していく。
アクション:
1. 未来に向き合い、グラフィックデザインの可能性を問い続ける。
2. 広く社会や行政にグラフィックデザインの意義を説き連携を生み出す。
3. グラフィックデザインの現在を集約し発信する。
4. 安心して仕事ができる環境を整備し、職能の権利を保全する。
5. 若い才能、新しい才能を発見し、世界に送り出す。
6. 日本の伝統と文化を守り、グラフィックデザインの歴史を継承する。
7. 世界のデザイン活動の諸相との交流を深め、活動の意識と範囲を広げる。
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悪い奴ではなさそうだということは上の通り分かっていただけたのではないでしょうか😅.このJAGDA 数年前までは「公益社団法人日本グラフィックデザイナー協会」という名称でしたが,小さい変化に大きな覚悟を込めて「デザイナー」から「デザイン」へシフトしたのは,きっと来るべき時代を見据えたからにほかなりません.いわゆる学術団体や学会ではなく,職能団体として発足しその母体を大きくしてきたので,学者以上にお互いに仕事の現場で研鑽を積んできたプロフェッショナルな人々が集う職人集団だということですね.
つまり,JAGDA とは,日本のグラフィックデザイナーと名乗る人たちの多くが所属する団体で,その中には日本のグラフィックデザインの歴史を彩ってきたすごいデザイナーたちも名を連ねているわけです.ちなみに,初代会長は亀倉雄策さんというデザイナーで,最初の東京オリンピックのポスターのデザインで世界に名をとどろかせたデザインの巨人です.みなさんが良くご存じのあの企業のロゴ,あの商品のパッケージ,あのCM,あの本の表紙などなど,信頼に足るものはすべからく JAGDA に所属するデザイナーがどこかに絡んでいると言っても過言ではないでしょう.すごい.
https://www.jagda.or.jp/
もちろん本校で教鞭を執る講師も,本校を卒業したデザイナーたちも,このJAGDAに所属している人が多くいます.もちろん,学校も JAGDA賛助会員として加盟しています 🙌
つまり,最初にお伝えしたかったのは,JAGDAとの距離の取り方がグラフィックデザイナーを目指すあなたにとっては大事だよ,ということです.なぜならば,これまで説明してきた通り,JAGDAが日本のグラフィック業界のものすごい太いメインストリームだからです.JAGDAの人が近くにいるかどうか,があなたの将来を大きく左右するよ,とアドバイスしないわけにはいきません.だって,ホントなんですもん.
ということで,JAGDA (ジャグダ)とは,日本のグラフィックデザインに関係する人々の集う大きな家のような存在だということです.
岡山で鬼退治?
さて,そんな JAGDA の全国大会という会員の人たちが集まって会議をしたりシンポジウムをしたり授賞式をしたり,という大きなイベントが今年は岡山で開催され,(JAGDA in Okayama 2024/ 公益社団法人日本グラフィックデザイン協会 全国大会 in 岡山 2024:2024年6月22日開催)近いじゃん!というノリで賛助会員である私たちは「きら星のような有名デザイナーたちに挨拶できる滅多にない機会!」と鼻息を1割荒くしながら会場に向かったのでした.
高松からは瀬戸大橋を渡り,広島からは新幹線に飛び乗り,福山からは車をちょこっと走らせて,それぞれ岡山駅に併設されたグランヴィアホテルの会場へ!
受付で,オリジナルの包装紙に包まれた 岡山名物 ”きび団子” が提供されます.グラフィックデザイナーの人って,こういった気の利いたおもてなしのデザインが上手な人が多いんですよね.楽しさの演出に抜け目がないというか.さらに写真にあるようにメインビジュアルは桃太郎がモチーフになってます.配色も優しく,かつ蛍光ピンクも効果的にあしらわれてひと目を引きます.穏やかさとアグレッシブさが同居していますね.いいですよね.
https://okayama.jagda.or.jp/information/272
大会の中では「JAGDA新人賞」という,その年に担当した作品(広告とか,ポスターとか,WEBサイトとか,自分がメインで携わったクリエイティブについての色んなものが対象になります)が素晴らしかった若手の人たち,それから,少し部門を細分化したうえで,新人に限らずその年に良かった作品に贈られる「JAGDA賞」,そして最後に,その年の最も優れた活動として認められた作品を生み出したデザイナーに贈られる「亀倉雄策賞」の授賞式がありました.
会場に映し出される受賞作品の画像のひとつひとつに「うーん(さすが…)」と唸りながら最先端のデザイン,デザイナーが選ぶデザインのトンガリ感や安定感に僕もデザイナーの端くれとして憬れ感や嫉妬感が押し寄せます.
最先端のグラフィックデザインの行方は?
続いては,デザイナー同士のトークを基調とした2部制のシンポジウム.最初は ”デザインの「おもて」と「うら」” と題して,地方とデザインがどう上手く結び付けられるかというようなテーマや,女性デザイナーのキャリアをどう創っていくか,という非常に身近な内容について3人のデザイナーとコーディネート役のデザイナーとの意見交換がありました.後半は,JAGDAの前会長の佐藤卓氏と,新会長の永井一史氏との対談で ”デザインの「これまで」と「これから」” という大きなヴィジョンに関するクロストーク.ここではそれらのトークの中身について多くに触れる時間がありませんが,ひとことで言うと「変化の激しい時代にグラフィックデザイン業界やひとりひとりのデザイナーがどう社会に貢献できるのか」という話でした.デザインの仕事に関わる人にとっては刺激的で将来に向けてどうあればいいのかを考えるきっかけになりました.
こういう最先端の議論を,JAGDA所属のグラフィックデザイナーが講師として穴吹デザインカレッジの普段の授業にも持ち込んでくれるわけですよね.
★きら星のようなデザイナーたちとの交流会
そして,その後はいよいよお待ちかねの懇親会!
オープニングはダンサーと音楽家,映像作家によるアクト.「桃太郎と鬼の宴」が今回の交流パーティのテーマ.神秘的な表現で,豊かな岡山の自然と命の関係を描いているように感じました.
カンパーイ🍻!のあとは,穴吹チームも臆せずいろんなデザイナーに挨拶していきます!日常的に講師として教鞭を執っていただいているデザイナーさんや,学校の委員会のメンバーに入っていただいているデザイナーさんへのご挨拶や近況報告はもちろん,過去に学校にゲスト講師で来てくださったデザイナーさんへのお礼や,今後のゲストの依頼とか!
昨年度,穴吹デザインカレッジの学生が受賞した「JAGDA国際学生ポスターアワード」で審査員賞として学生作品を選んでくださった澁谷克彦さんにも,この春卒業した受賞者の近況報告も兼ねて.
そして,穴吹デザインカレッジと専門学校徳島穴吹カレッジで協力している「瀬戸内デザイングランプリ」の審査員長であり,このコンペをご自身のライフワークとして開催されている新村則人さん(資生堂とか MUJI(良品企画株式会社)とか大塚製薬といった企業のグラフィックを担当されています)にもご挨拶.との今年も香川(徳島は今年から)でも,穴吹がしっかりサポートさせていただきます.
また,卒業生デザイナーを採用してもらったり,共に仕事をされたと噂を聞いたデザイナーにも果敢に話しに行きます.そして,新たに知り合いから紹介されたデザイナーと今後の活動についての意見交換も.何か楽しいことがまた起きそうな予感.
卒業生登場!
終盤には,新たにJAGDAの会員になったデザイナーがステージに上がりひとこと喋るコーナーも.ここに,穴吹カレッジの卒業生が登場.kirin というデザイン事務所を走らせている 永戸修司さん.ADC年間にも掲載されてますし,GOOD DESIGN賞も受賞しています(穴吹カレッジの福山校のパンフレットなど手掛けていますよ).個人的には彼を学生の頃から知っているので感慨深いものがあります!つい写真を撮ってしまいました.次は,JAGDA新人賞で登壇するのを楽しみにしていますよ!
もちろん,彼以外の卒業生の姿もチラホラ!これまた嬉しい再会でした.
この全国大会では全体で300名以上はいらっしゃったのでしょうか.JAGDA会員のザっとその1/10のメンバーが集まっているという計算になります.専門雑誌等でよく見る著名なデザイナーはそれなりに役職や立場もあってみなさんお集まりです.日本をグラフィックデザイナーの密度でみると異常値が出るほどの集まりっぷりです.気付けば時計は夜の9時を回っています.そのあたりで中締めの合図は,岡山出身のデザイナー原研哉さん.彼の下で仕事した後に独立し,今でも原さんの仕事でCGなどの制作を手掛けている卒業生デザイナーのことを思い浮かべます.
そういった多くのデザイナーさんと情報交換をしながら,いろんな人が穴吹というフィルターを通して遠いところまで繋がっているのだなぁと実感.あっという間の半日でした.きっと二次会三次会で夜は長かった事でしょう!
グラフィックデザインを学ぶなら
デザインの世界も世の中の流れに合わせてどんどん変わっていきます.トレンドも変われば,スタイルも変わる.もちろん,技術や考え方も.そんな最先端のグラフィックデザインの動きは,このJAGDAから生まれているといっても過言ではないのです.そんなわけで,穴吹カレッジのデザイン分野を持つ学校では,多くのJAGDAに関わりのあるデザイナーのみなさんのサポートや関係の中で,日々デザインの授業を実施しています.
JAGDA は,言うなればこの業界では日本で一番大きな家だと思います.とはいえ,会員数は全国で3000人ほど.この数をどう見ればいいのでしょうか.ちなみに,グラフィックデザイナーに従事する人の数は20万人を越える(厚生労働局のデータによる)と言われています.JAGDAに属さないグラフィックデザイナー(グラフィックデザインに関係する仕事に従事している人)もすごく多く存在しているので,産業として,安定的なサラリーマンとしての仕事も世の中にはたくさんある,と理解できます.経済を下支えする極めて重要かつ就業者数の多い仕事のひとつです.そして,その業界のトップランナーが集う家がJAGDA だと言えます.同じ学ぶなら,トップランナーから学べる環境の方が,ね.
もしあなたがグラフィックデザイナーを目指しているのであれば,JAGDAについては知っておかねばなりません.どこで学べば最先端のグラフィックデザインに触れられるのかを知るためにも.