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2026年度_ゲームクリエイター学科_東京研修

2026.09.29

デザイン・ゲーム

2026年度 ゲームクリエイター学科 東京研修

 

 

 

― ゲーム・XRの最前線に触れた2泊3日 ―

 

2026年9月18日(金)から20日(日)までの3日間、ゲームクリエイター学科では東京研修を実施しました。今回の研修では、XR技術を活用したアトラクション開発を手掛ける株式会社ハシラス、ゲーム開発の第一線で活躍する株式会社キャメロット、XRアトラクションの企画・開発・運営を行う株式会社日本XRセンターを訪問しました。さらに、東京で活躍する卒業生や現役クリエイターとの交流、そして最終日には東京ゲームショウ2026の見学も行いました。

普段の授業では、ゲーム企画、プログラム、CG、XRなどについて学んでいます。しかし、学校で身につけた知識や技術が、実際のゲーム・XR業界でどのように使われ、どのような考え方で商品やサービスにつながっていくのかは、現場に触れてこそ分かることも多くあります。今回の研修は、単なる企業見学ではなく、「クリエイターとして良いものをどう作るのか」、そして「それを現実の仕事としてどう成立させるのか」を考える3日間となりました。

 

 

1日目 XR技術の世界へ ― 株式会社ハシラス訪問

9月18日、高松空港に集合した学生たちは羽田空港へ向けて出発しました。東京到着後、最初の研修先として訪問したのは、東京都北区にある株式会社ハシラスです。

株式会社ハシラスは、VR・AR・MRなどのXR技術を活用し、イベントや施設向けのXRアトラクション、安全教育・トレーニング用XRコンテンツ、体感型ハードウェア、メタバースなど、幅広い分野の企画・開発を行っている企業です。今回、学生たちにお話をしていただいたのは、株式会社ハシラス代表取締役社長の安藤晃弘様です。安藤様は、元・江戸古典奇術師「藤山晃太郎」として活動された経歴を持ち、現在はVRプロデューサーとしてXRによる新しい体験づくりに取り組まれています。

ハシラスの特徴の一つが、現実の装置とXRコンテンツを組み合わせた、アトラクション型の体験です。その代表例として紹介されたのが、施設向けVRアトラクション『VR進撃の巨人 THE HUMAN RACE』です。この作品では、プレイヤーは『進撃の巨人』の世界で調査兵団の一員となり、乗馬型の体感マシンにまたがって巨大樹の森を疾走します。追いかけてくる巨人から逃げながら作戦を遂行する内容で、乗馬型筐体の動きやジャンプ、風による疾走感などが映像と連動し、本当に馬に乗っているかのような感覚を生み出しています。

こうしたXRアトラクションでは、単に高性能なVR機器を使えばよいというわけではありません。初めて体験する人にも分かりやすく、短時間でも強い印象を残し、映像と身体感覚を自然に一致させる必要があります。また、現実の装置とデジタルコンテンツを一体として設計することも重要です。

さらに今回のお話で特に印象的だったのが、コストを意識して作る必要性です。XRアトラクションでは、VR機器やPCだけでなく、専用筐体、センサー、設置スペース、輸送、保守・メンテナンスなど、運用まで含めると多くの費用がかかります。そのため、技術的に可能なことをすべて盛り込むのではなく、「どこにコストをかければ体験が大きく良くなるのか」「どこを工夫すれば、費用を抑えながら高い体験価値を実現できるのか」を考える必要があります。

これはXRだけではなく、ゲーム開発にも共通しています。ゲーム制作にも予算、スタッフ数、制作期間などの制約があり、その中で何を優先し、ユーザーにどのような価値を届けるかを考えることが大切です。今回のハシラス訪問を通して、学生たちはXR技術そのものだけでなく、「面白い体験を、現実の商品やサービスとして成立させるためには何が必要なのか」という視点も学ぶことができました。

 

2日目 ゲーム会社、XR、そして卒業生との交流

 

□株式会社キャメロットで「ゲーム開発の大切さと、就活の秘訣」を伝授

9月19日、研修2日目は、ゲーム業界そのものをより深く知る一日となりました。午前中に訪問したのは、東京都新宿区にある株式会社キャメロットです。

今回、学生たちにお話しいただいたのは、株式会社キャメロット企画開発部 部長の宇野正明様です。宇野様は長年にわたりゲーム開発に携わってこられたクリエイターで、『マリオテニス』シリーズや『マリオゴルフ』シリーズなど、多くの作品に関わってこられました。また、『黄金の太陽 失われし時代』ではサウンドディレクターおよびコーディネーションを担当し、これまでの講演等では『黄金の太陽』や初代『みんなのGOLF』なども代表作として紹介されています。本校とも縁があり、2025年には穴吹デザインカレッジの「デザイン展’25」で特別講演を行っていただきました。

今回の企業訪問では、ゲーム業界の現状や実際の制作現場、これからゲーム業界を目指す学生が身につけておくべきことなど、数多くの助言をいただきました。その中でも特に印象に残ったのが、「いい所、悪い所、もっと良くなるためには」という考え方です。

ゲーム制作では、自分の作品を単純に「良かった」「悪かった」で終わらせるのではなく、まず良いところを見つけ、次に改善すべきところを確認し、最後にどうすればもっと良くなるのかを考えることが大切です。悪いところだけを探しても作品の良さは伸びませんし、良かったところだけを見て満足していても、次の成長にはつながりません。「なぜ良かったのか」「なぜ問題があったのか」「次はどう改善するのか」まで考えることが、クリエイターとして成長するために必要になります。

この考え方は、自分の作品だけでなく、市販されているゲームや他の人の作品を見るときにも役立ちます。ただ「面白かった」「つまらなかった」で終わるのではなく、なぜそう感じたのかを考え、自分ならどう改善するかまで考えることで、ゲームを見る視点が「プレイヤー」から「クリエイター」へと変わっていきます。長年ゲームを作り続けてきた宇野様から直接こうした話を聞けたことは、学生たちにとって大きな学びとなりました。

 

□日本XRセンターで、MR・XRならではの「身体で感じるゲーム」を体験

株式会社キャメロットでの研修後は、株式会社日本XRセンターへお邪魔しました。日本XRセンターは、XRコンテンツの企画・開発・運営・サポートを行い、XRアトラクション、XRトレーニング、ライセンス、店舗運営などを手掛けている企業です。

そして日本XRセンターは、本校ゲームクリエイター学科の卒業生が内定・就職した企業の一つでもあります。その卒業生は、実際にXRコンテンツの制作に携わっており、今回学生たちが体験した『ZOMBIE STORM(ゾンビストーム)』などにも関わっています。自分たちと同じ学校で学んだ先輩が、企業で制作したコンテンツを後輩たちが実際に体験するという、非常に貴重な機会になりました。

最初に体験した『ZOMBIE STORM』は、ヘッドセットを装着し、実際に自分の足で空間を移動しながら、迫ってくるゾンビと戦うフリーローミング型のXRシューティングです。プレイヤーは銃型コントローラーを使いながら、自分自身で歩き、振り向き、構え、狙い、撃つという動作を行います。さらに、振動ジャケットや風などの演出もゲーム内の出来事と連動しており、画面を見るだけではなく、身体でゲーム世界を感じられるように工夫されています。

続いて体験したのが、XRホラーアトラクション『迷界デパート』です。プレイヤーは夜間警備員となり、ライトを手に暗い百貨店の中を探索します。この作品でも、コントローラーでキャラクターを動かすのではなく、自分自身が現実の空間を歩くことでゲーム内を移動します。現実には何もない場所でも、ヘッドセットを通して見ると暗い百貨店の売り場や通路が広がり、自分が一歩進めばゲームの中でも一歩進むため、MRタイプのゲームならではの高い没入感を味わうことができました。

今回体験した『ZOMBIE STORM』と『迷界デパート』に共通していたのは、身体の動きとゲーム内の出来事がとても自然につながっていたことです。自分が歩けば移動し、振り向けば周囲の景色も変わり、攻撃や演出も身体の感覚と連動します。そのため、従来のゲームのように「キャラクターを操作している」というよりも、「自分自身がゲームの中に入っている」と感じられる体験になっていました。

これは、1日目に株式会社ハシラスで学んだ「身体感覚と映像を一致させること」「現実の装置とデジタルコンテンツを一体として設計すること」という考え方を、実際のゲームを通して体験する機会にもなりました。ハシラスではXRアトラクションをどのように作るかという考え方を学び、日本XRセンターでは、その技術によって生み出されたXRゲームをプレイヤーとして身体で体験しました。2日間の研修内容がつながったことで、学生たちはXRについてより具体的に理解することができました。

また、本校の卒業生が実際の開発現場でコンテンツ制作に携わっていることも、在校生にとって大きな刺激になりました。自分たちと同じ教室で学んでいた先輩が、今では多くの人が楽しむ作品を世の中に送り出している。その事実は、「学校で学んでいることが将来の仕事につながっている」ということを実感できる、とても分かりやすい例となりました。

 

□東京で活躍する卒業生、そして現役クリエイターとの交流

2日目の最後には、毎年恒例となっている東京で活躍するゲームクリエイター学科卒業生との交流会を行いました。東京でゲーム業界に携わる卒業生たちは、Discordの「GameJam部」などを通して、現在のゲーム会社の情報や技術について後輩たちへ情報を提供してくれています。2026年度は、主な東京メンバー8名を中心に交流が行われました。

企業の方から話を聞くことはもちろん大切ですが、少し前まで自分たちと同じ学校で学んでいた卒業生から話を聞けることには、また違った意味があります。「実際にゲーム会社に入ってどうだったのか」「学生時代に何をしておけばよかったのか」「就職活動では何が必要だったのか」「学校で学んだことが仕事でどのように役立っているのか」など、これから自分たちが経験することになる話を、先輩たちから直接聞くことができました。

また今回は、卒業生だけでなく、特別ゲストとして井上先生の元開発仲間にも参加していただきました。実際のゲーム開発現場で3Dモデル制作に携わってきた経験から、学生たちへ3Dモデル制作の仕事の大変さや、プロの制作現場についてお話しいただきました。

学校では、一つの3Dモデルを完成させることが大きな目標になります。しかし、実際の商品開発では、見た目の良いモデルを作るだけでは仕事は終わりません。ゲームの企画や世界観に合っていること、指定されたデザインを再現できていること、ゲーム上で問題なく動作すること、アニメーションさせたときに不自然にならないこと、必要な品質を保ちながら制作期限を守ること、そしてプランナーやプログラマー、モーション担当など他職種と連携することなど、多くの条件があります。

クオリティを上げようと思えば、いくらでも時間をかけることはできます。しかし、実際のゲーム開発には納期があり、チーム全体で一つの作品を完成させなければなりません。限られた時間の中で、求められる品質まで仕上げる。その難しさを、実際の開発経験を持つクリエイターから聞くことができたのは、とても貴重な機会でした。

卒業生からは、ゲーム業界に入ったばかりの若手としての現場を。特別ゲストからは、長くゲーム制作に携わってきたクリエイターとしての現場を。それぞれ異なる立場から話を聞くことで、学生たちは数年後だけではなく、ゲームクリエイターとして長く働いていく自分の姿についても考えることができました。

 

 

3日目 東京ゲームショウ2026へ

9月20日、東京研修最終日は、早朝にホテルを出発し、東京ゲームショウ2026へ向かいました。会場には国内外のゲーム企業やクリエイターが集まり、最新タイトルや技術、さまざまな展示を見ることができます。

ゲームクリエイターを目指す学生にとって、東京ゲームショウは単に新しいゲームを遊ぶためだけのイベントではありません。大切なのは、「遊ぶ側」だけではなく「作る側」の視点でゲームを見ることです。なぜこのゲームは人を引きつけるのか、どのようなゲームシステムになっているのか、UIは分かりやすいか、キャラクターや背景はどのように世界観を作っているのか、サウンドや演出はどのように使われているのか、そしてブースではどのようにゲームの魅力を来場者へ伝えているのか。そうした視点で観察することで、会場全体がゲーム制作の教材になります。

ここでも、2日目に宇野様から教えていただいた「いい所、悪い所、もっと良くなるためには」という考え方が生きてきます。「このゲームの良いところはどこだろう」「もう少しこうすれば、さらに遊びやすくなるのではないか」「自分ならどう作るだろう」と考えながら作品を見ることで、ただ遊ぶだけでは得られない学びにつながります。

 

学生たちは、さまざまなゲームや技術に触れ、自分たちの作品制作につながる多くの刺激を受けました。東京ゲームショウ見学後は自由行動を経て羽田空港へ移動し、高松へ帰着。こうして2泊3日の東京研修は終了しました。

「良いものを作る」とは何かを考えた3日間

今回の東京研修では、株式会社ハシラスでXRによって人に強い体験を届けるための技術と、コストを含めてコンテンツを成立させる考え方を学びました。株式会社キャメロットでは、宇野正明様からゲーム業界についてのさまざまなお話とともに、「いい所、悪い所、もっと良くなるためには」という、作品を分析し改善していく視点を教えていただきました。

株式会社日本XRセンターでは、本校卒業生が制作に携わった『ZOMBIE STORM』をはじめ、『迷界デパート』を実際に体験し、現実空間を歩くことや、身体の動き、振動、風などの演出とデジタル世界が重なるXR・MRならではの高い没入感を学びました。卒業生や現役クリエイターとの交流では、就職後の仕事、学生時代の経験、3Dモデル制作現場の難しさなど、実際の仕事につながる具体的な話を聞くことができました。そして東京ゲームショウ2026では、多くの作品を「遊ぶ側」だけでなく、「作る側」の視点で観察する機会を得ました。

ゲームクリエイターを目指すうえで、プログラム、CG、企画などの技術を身につけることはもちろん重要です。しかし、良い技術を持っていても、それがユーザーに伝わらなければ意味がありません。面白いアイデアがあっても、予算や期間の中で完成させる必要があります。そして完成した作品も、そこで終わりではなく、さらに良くするために分析し、改善していくことが大切です。さらに、ゲーム開発は一人だけで行う仕事ではなく、多くの人と協力して完成させる仕事でもあります。

今回出会った方々は、XR、ゲーム開発、3Dモデル制作など、それぞれ異なる分野で活躍されています。しかし、そのすべてに共通していたのは、「限られた条件の中で、どうすればもっと良いものを作れるか」を考え続けていることでした。

東京研修は3日間で終了しましたが、本当に大切なのはここからです。企業で聞いた話、XRで体験したこと、プロのクリエイターから受けた助言、卒業生たちから聞いた現場の話、東京ゲームショウで見た数多くのゲーム。それらを「すごかった」で終わらせず、自分たちの作品制作へどう生かしていくのかが大切です。

今回学んだ「いい所、悪い所、もっと良くなるためには」という視点を持ちながら、これからの作品制作や就職活動につなげていってほしいと思います。今回の東京研修で得た経験が、学生たちの次の作品、そして未来のゲームクリエイターとしての成長につながることを期待しています。

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