地域とデザイン_デザインの生まれるところ⑩ | 香川県の専門学校 穴吹カレッジグループ 高松 | 四国で専門学校に通うなら、充実の学びで専門力を身に付ける!資格と就職に強い実績校

地域とデザイン_デザインの生まれるところ⑩

2026.02.16

トップページ

讃岐モダンから SANUKI MODERN へ
讃岐モダンから SANUKI MODERN へ
香川のデザインを紐解く主要人物
香川のデザインを紐解く主要人物

高松市の名所「屋島」の山頂にある「やしまーる(高松市屋島山上交流拠点施設)」話題の香川県立アリーナをデザインしたSANAA(設計事務所)出身の建築家、周防貴之さん設計による独特の空間構成を持つ施設です。この「やしまーる」の館長をつとめるのが、デザイン・アーキビスト(デザインの資料を専門的に集め、保存し、記録を伝える専門家)中條亜希子さん。中條さんは美術館や博物館で学芸員としての豊富な経験を持ち、このやしまーるの館長としての顔だけでなく、香川の主に戦後のデザインのアーカイブ(資料を保存して記録を残していくことなど)をライフワークとされています。

中條さんの活動は多岐にわたります。美術館などで展示を企画・運営するキュレーターとして展示を支援したり、会場のディスプレイ(飾り付け)や、全体の方向性を決めるディレクションも担当します。例えるなら、香川産デザインのすべてを知る「総監督」のような存在です。香川のデザインについて何でも教えてくれる、頼もしい案内役(コンシェルジュ)でもあります。先日、中條さんのところが「やしまーる」と一体で管理を任されている屋島山頂の駐車場の奥にある喫茶店兼土産物屋さん「JOG」を舞台に、中條さんが個人でコレクションされている「讃岐モダン」のグッズやそれらに関連する書籍が展示されるというので覗きに行ってきました。

讃岐モダン:生活に根差した香川のデザイン
讃岐モダン:生活に根差した香川のデザイン

讃岐モダン、について触れておかないといけませんね。じつはこのワードは中條さんがこの香川の風景や生活に根ざした「食・もの・空間」にまつわる戦後のデザインを分かりやすく伝えるために用いたのが最初だとか。中條さんとその周りの人たちの「讃岐モダン」への想いが広がり、今ではデザインやアートの業界では全国的に知られるようになってきています。しかし、なぜ、香川で昔からデザインやアートがこれほどまでに盛んだったのでしょうか?

戦後、香川のデザインが大きく発展した最大の理由は、当時の金子正則知事の強力な推進力にあります。彼は「デザイン知事」とも呼ばれ、「政治とはデザインなり」という信念を持っていました。なぜなら、デザインには人の生活を豊かにする力があると信じていたからです。その考えに大きな影響を与えたのが、大学時代に知ったドイツの建築家ブルーノ・タウトの「日本美の再発見」という考え方でした。そして知事として、香川ゆかりの芸術家(猪熊源一郎など)を介して県庁舎の建築を丹下健三に託します。そういった事業を通して、イサム・ノグチや流政之、ジョージ・ナカシマ、和田邦坊などなど、多くのデザイナーやアーティストがこの地を拠点として活動をするに至ったのです。こうした為政者がデザインやアートの根源的な力を信じて培ったひとの繋がりから讃岐モダンは始まっているのです。

さらに重要なのは、デザイナーやアーティストのアイデアを「形にできる職人」や「産業」が香川に根付いていたことです。家具制作、伝統工芸、石材(庵治石など)、印刷など、高松エリアの職人たち(マイスター)がデザイナーと協力(協働)しました。この連携から、「讃岐民具連」という活動グループが生まれるなど、デザインとアートを中心にした商品開発が活発に行われたのです。このように、香川は本当に、デザイン先進地域であったのです。

讃岐モダンを次の世代に引き継ぐ
讃岐モダンを次の世代に引き継ぐ

しかし、残念なことに大きな時代の変遷のなかで、このようなモノづくりへの関心、それらを誇りとして所有し育てていく関心が市民に根付いているかといえば少し心許ないのが実情です。社会がグローバル化していくなかで、安価な海外生産品や東京から持ってこられた流行りのグッズに讃岐モダンはその存在が埋れてしまていると言えるかもしれません。

中條さんのコレクションは、香川漆器を中心に、家具から展示台のようなものまで様々です。お店や工場が閉まる時、連絡を受けては、他の学芸員仲間と貴重な品を美術館に入れたりする仕事もあり、そんな時に残ったものたちの中から引き取ったりするのだとか。それらを、こういう機会に引っ張り出して、気に入った人たちへ届けることをされているわけです。

香川漆器、庵治石、木工、丸亀うちわ、引田の手袋、張子、そしてかまどやくつわ堂などをはじめとするお菓子・食品のパッケージなど。生活の中に、地元、讃岐モダンのアイテムをどう届けていくか。それは、讃岐モダンの伝統をどう受け継いでいくかという課題でもあります。職人や生産者への道もあれば、中條さんのように、文化として発信や人目に触れる機会をつくっていくという道もあるでしょう。Local(ローカル)の価値を見据え、グローバルな発想でアップデートしていく。地域デザイン学科では、こういった地元のモノづくりを新しい発想で繋いでいく人をひとりでも多く増やしたいと思っています。

未来に手が届く
専門学校